癒しの洞窟

体験談

目を覚ますと、私の体は闇に包まれていました。

姿かたちが、文字通り黒一色の服装をしていたのです。

足先は、尖った黒い靴、ズボン、おなかも胸も黒くて、胸のあたりで中のインナーのようなものとつながる大きな布で、体をすっぱりと包み込んでいます。全体的には大きなマントを被ったような、そんな格好です。顔も黒くて表情はなく、頭にかぶったとがった帽子のようなもので隠されています。

そのようないで立ちで、夜、ただ星を見上げていました。

星の動きは早く、右に回転します。

どこの地域の、どの時代か、地球上に存在する場所なのかどうか、わかりません。

場面が変わると、私は普段暮らしている場所に移動します。

きれいなオレンジ色が輝く、洞窟の中でした。洞窟の中は暖かい色に照らされて、すこしだけ曲がったりして奥へ続き、突き当りの自分が生活するスペースに行きつきました。

そこには、床に、白と青のきれいな長いお皿がおかれており、その上には、色とりどりの丸い木の実が置かれています。きれいで可愛くて、まるで玉麩のような見た目でした。円錐を逆さにした、白い米のようなものをためておく入れ物も床に置かれています。金属製の足がついています。

ふだんは、これらを食べて生活していることがわかりました。

場面が変わり、自分の家族がいた時代に移動します。

私の家は、小さく、ドアから入るとすぐリビングになり、リビングしか見えません。リビングの壁をぐるりと囲むように、コの字型にベンチがあり、テーブルをはさんでその向かいに、私専用の椅子があります。

まるで、椅子に座った私を、ベンチに座る人が注目するような、祭壇のような形です。

家の中は明るいのですが、私以外の家族の姿は見えません。

水を飲もうと水場に行くと、水場の棚にはコップが4つあります。一つは小さくかわいらしいのですぐにこれが自分のコップだとわかりました。なぜなら私は、黒ずくめの恰好ではなく、子供の姿だったからです。

リビング以外ない部屋だと思っていたのですが、部屋の左に、戸があるのがわかりました。おそるおそる開けてみると、そこは、外です。炊事をする窯などが置かれているので、土間が外にあるようなかんじです。

あいかわらず、家の中には私一人です。わたしは、子供で、一人で生きていけるはずではないのに、夜になっても誰も帰ってくることがありません。それに、寝る場所がないのです。

私は、いつしか、テーブルの端に置かれていた大きな針を見つけ、手に取り遊び始めました。その針はケースがあり、両手でケースから針を出しては戻すという、意味のない手いたずらをしています。

その時です。現実の私の右の耳奥が突然激痛に見舞われました。

どうやら、子供であるわたしは、その針を自分の耳に突っ込んだようでした。初めて感じる激痛に幼い私は泣いています。助けて、誰か来てと。でも誰も来ることはありません。

血は出ていなく、重篤な傷害ではないですが、子供時代に一日中祭壇のような部屋に入れられ、だれも助けに来てくれることのない状況・・・この時、孤独という深い闇を思い知ったのです。

前世療法では、思い出せる人物は、家族か家族同然の近しい人物です。通りすがりの人や、ターニングポイントに関係のない人間は思い出すことができません。

おそらく、私が過ごしたちいさな部屋には、たくさんの人が出入りし、いくつかのお供え物を私に捧げ、一日中、好きな時に私に祈りを捧げに来ていたのでしょう。

普通とは違う見た目で生まれ、神の使いとあがめられ、物心つく頃から、人々の祈りの対象とされすごしてきたようでした。

その生活も、大人になったある日、自分から隔離し解放されます。

それが冒頭に出てきた、オレンジ色に光る洞窟でした。

世間から離れ、たまに運ばれてくるきれいな木の実を食べ、ひっそりと生活しています。・・・家族は性格の温厚なクマだけです。

時が来ました。

歳は46才になっています。

夜空を惜しむことなく見つめた後、洞窟の奥に戻り、仰向けに体を寝かせます。手は組んで、ゆったりとした気持ちでひとつ呼吸をします。

その呼吸が最後の一息でした。

その前世から学んだことを、中間性と呼ばれるあの世で、今の自分に伝えます。この先は一番のクライマックスであり、前世が伝えたい、本当の「幸せ」です。

私は、その意味をじっくりと吟味し次に生かすという仕事が、できたのです。

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