葉っぱの家・ひとりぼっち

体験談

足はどろどろ、服は破けてただの布切れみたいになっています。

地面は土でまっくろだし、周りは、木の幹やツタや葉っぱだらけ・・・。

ここはジャングルみたい。

しばらく葉っぱをかき分けて進んでいきます。怖さとか大変さとかはなく、自然の中って楽しいと感じる。

腰まである植物をかき分けていると、チラチラと視界に入るのは、細いけど筋肉のついた健康的な自分の腕。色は褐色。

自分の家は、ジャングルから集めたたくさんの葉っぱできていて、上から植物のつるやツタを下げて、壁として葉っぱで囲っていて、中に自分一人だけが入れるようになっている。

葉っぱの中で一人暮らしだ。

自分は男の子で、友達とか親とかはいない。

家には一人だけど、他にも人の気配がする。

女の人、男、・・・みんなの肌の色も褐色だ。

となりの葉っぱの家には一家が住んでいる。お母さんとお父さんと小さい子供たち。何か鍋で料理している?ご飯を食べてる時間だったのか。小さい子、かわいいな。

村の一番偉い人、長老さんにも奥さんがいる。ひとりじゃない。

僕は一人だけど。

長老さんにはお世話になった。僕が子供のころ、ひとりでジャングルの中で迷子になっていた時・・・違う部族なのに長老が助けてくれた。その時もうシワシワだったけど、長老は僕を家族だと言って育ててくれた。奥さんも優しかった。

僕はもう生まれた時の家族を思い出せない。

そのくらい小さい時だったんだ。

子供の親って、どんな感じなんだろう?僕のお父さんお母さんって・・・

どうして自分は一人なの?

ひとりぼっち・・・さみしい・・・家族がうらやましい・・・自分には誰もいない。

民族みんな集まって毎日のようにお祭りがある。

自分はそこに行くのも嫌だ。その時間だけ、葉っぱの家からいなくなって誰にも見つからない場所で過ごす。ただ時間がたつのだけを待っている。お祭りなんかしなければいいのに!だってそこにいけば自分が一人だってことがますます強調される。

僕は神なんて崇めない。

・・・いいにおいがする。

懐かしいのと、少し落ち着くようなコゲの香りのそれは、長老が好きなたばこ。

長老はもうおじいちゃんなんだから、体に気を使ってね。

長老は優しいし、奥さんも自分によくしてくれた。

長老はまるで仙人のように、いろいろな知識で、薬を作ったり病気を治したり、みんなから信頼されている本当に立派な人。

僕は長老のような立派な人間になりたい。一族をまとめ、優しく博識で、毎朝の儀式にもまじめに取り組んで、人を癒したり、小さな子供を救ったり。

小さな子供を救ったり。

そうだ、自分は、長老に救われたんだ。

家族がいないとかさみしいとか、自分をみじめにしていたのは自分。その時はじめて気づいた・・・自分には育てて見守ってくれた大好きな長老がいたんだって。

自分の人生が変わったのは、その時・・・長老に弟子入りをして勉強して力をつけ、人々を癒す道に進もうと決心した時だった。

すべての知識をものにして、あとは山にこもって修行する。

ついうっかり、ご飯を食べるのを忘れて倒れてしまうけど、自分はやりきった。大事な人を、恩を感じた人がいたということに気づくことができた。自分が守られていた、愛情を注いでもらえていたということを理解できた。

次の人生でも、大事な人の存在に気づけるだろうか?

気づくのが遅くて、親孝行が遅れないように、身の回りで起こるすべてのことに意味があるのだと考えられるようになれたらと思う。

今なら信じられる…神様、ありがとうございます。

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