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ゆんぐしんりがく(ユング心理学)
2021.10.18
ユングは自ら確立した理論体系を「分析心理学」とよんだが、わが国ではユング心理学という名称の方が一般的である。
もっとも一般的なユングの概念は、内向ー外向であり、これは素質的な根本的態度の型である。
内向型は関心が自分の内面に向かい、客体の距離を置こうとする。外向型は関心が外界の諸事象に向かい、客体に積極的に働きかける。さらに4つの心理機能として、思考ー感情、感情ー直観を区別した。そして個人が主として依存している心理機能を優越機能、その対にある機能を劣等機能と呼んだ。
ユングは心を意識と無意識に分け、さらに無意識を個人的無意識と集合的無意識に分けた。
個人的無意識には、かつて意識化されていた内容が抑圧・忘却されたものや強度不十分で感覚的痕跡となったものが含まれる。
コンプレックスはこの領域に依存し、神経症は自我がコンプレックスに支配されることにより生ずるとされた。
集合的無意識は、人間だけでなく動物にも共通する個人の心の基盤である。この内容は心象(心的イメージ)として表象され、神話、夢、精神病者の妄想、未開人の心象などに共通して認められるものである。
彼は、この共通性を生み出す元の型の存在を仮定し、それも元型と呼んだ。代表的なものに、影、アニマ、アニムス、自己などはある。
ユングは意識と無意識の相補正と心の全体性に関心を持ち続け、それを「自己」の概念にまとめた。その意味で自己はユング心理学の中枢的概念である。
彼にとって事故は、心の全体性の中心であり、意識と無意識をはじめ、内在する対立的諸要素の統合を狙うものである。彼は人生の究極の目的として、自己実現ないし個性化を挙げているが、これは無意識の補償的象徴の力を借りて、潜在している自らの可能性に気づき、自我の力でそれに光を当て統合する過程である。
彼はまた夢分析を通じて、この過程の輝かしい未来を示すとともに、苦しく危険な側面も併せて指摘した。