EXPERIENCE体験談
沈黙の花嫁 30代女性
2022.01.07
催眠に入り、前世での自分の家の前に立つと、鉄柵が見えました。
鉄柵の奥は、整列した木々や手入れされた池、さらに奥へとつづく道が見えます。
すぐに、その”家”は地主とかある程度お金を持っている裕福な者の家だとわかりました。
道を進んでいくと、家がありました。そんなに大きくないささやかな家です。中に入ると、”自分”と初老の男と、小さな子供がいました。
”自分”は、白い布で全身を覆い、目元だけが出ている服装でした。まだ若く、すぐそこに座っている小さな男の子の母親でした。
男の子はずっと一人で楽しそうにしゃべっています。たまに話しかけてきて、私は、うんそうね、と優しく笑顔を返します。こどもはすぐに自分の世界に入り、また一人でしゃべり続けます。お話ごっこのようです。
男は、大きな宝石のついた指輪をいくつかつけています。
中年者で、品がよく、寡黙です。
この人は私の父親で、私は夫がいないシングルマザーなのだろうか・・・?家の中をさらに調べますが、それらしい人物、夫は見当たりません。
男を観察しますが、どうも子供のおじいちゃんではないようで、私と血縁ではないことがわかります。
他人・・・いえ、この年の離れた男が私の夫でした。
夫も私も特に普段から会話はなく、特に子供の相手もしない夫は、寡黙でした。家族に冷たい人なのだろうか・・・お金持ちで、若いお嫁さんをもらって、広い敷地にたった3人で暮らしている。近所づきあいもなく、というか、そもそも近所に人がいる気配がありません。おとこは、権力や富を振りかざすわけでもなく、外面だけがいいというわけでもなく、家族に冷たいというわけでもないのです。
私は感じられました。
男を見ているうちに、その人は愛情表現ができづらい不器用な男だと感じることができたのです。
まだ20代の私は、この男に愛を感じることはありません。
この人生において、やらなければならないことが自分にあるように感じました。傷や痛みを知ること、この時代にこの肉体で生きている今だけが、それが体験できるのかもしれない。そうだとしたら、わたしは心にちゃんと傷を感じて、それを乗り越えることに注力を注がなければならない、少なくとも、終わってしまったこの人生ではなく、今の今世にて。