EXPERIENCE体験談
ヘッドライトに照らされた私
2022.03.31
セラピーの最初は自然がいっぱいで、リラックスできるとても気持ちのいい場所にいました。
自分の左側には小さい家と水車がつながっており、そばには馬もいる。
外国の昔の原風景・・・そんな、とてもゆっくりと時間が流れるのどかな時代と感じました。
私の行先は、今見るべき前世というテーマなので小さい家にはあとで立ち寄ることにしました。
たどり着いた場所は、真っ暗闇・・・そこに浮かび上がるのは車のヘッドライトです。
私は今、車のヘッドライトに照らされて、その目の前にいます。体は動かない、車はまっすぐ正面の私を向いている。かすかな私の声が聞こえたような気がした・・・瞬間、止まっていた時間がゆっくりと動き出した。
私は赤い靴を履いています。ヒールが高く、つま先が少し丸みのある細長い形で、今着ているワンピースにとてもよく似合っています。肌は色白、化粧は濃くなく細めの清潔感のある、20代から30代くらいの女性です。
先ほどの、車のヘッドライトに照らされていた私ではありません。
七分丈の袖の、マーメイドシルエットのワンピースで、少し暗い道路わきを歩いていました。
街路に英字で書かれた新聞紙が落ちていたので、ここが英語圏の国だということがわかります。
私の自宅は白い大きな家で、メイドがいるような広いものです。
父は貿易関係の仕事で忙しいですが、今日は家にいてゆっくりしてます。体が大きく筋肉質で健康的です。母は優しく穏やかな人。今、キッチンに立ってメイドさんと一緒に何かを作っています。そんなのメイドに任せて早く食べましょう。
父も母も怒らないし、知的だし、この家族の中にいると、”平和”であることが実感され、私はとても満ち足りた、幸せな気分でいることができます。
それは、私が大好きな彼と結婚しても、ずっと感じることができる感情です。とてもとても幸せです・・・穏やかで誰も悲しいことになることがない。
カフェから見る景色はアーリーアメリカンの、ポップな音楽がよく似合うノスタルジーな交差点。
立ち並ぶビルやビルの色彩豊富な看板、ぺったんこな車がまたかわいく見えます。
いつも彼との待ち合わせは楽しくて、待っている時間さえもいとおしく感じる。
今日は茶色のブーツ。仕事帰りの彼に合わせて、甘すぎない清楚なジャケット姿です。
彼はイケメンなのに仕事ができる、性格もまじめなとっても素敵な人。真面目と言っても、別にケンカをしないわけでもなくて、でも私のことをいつも考えてくれる優しさがたまらなく好きです。
・・・
私は今車の目の前に立っています。
私は今、車のヘッドライトに照らされて、その目の前にいます。体は動かない、車はまっすぐ正面の私を向いている。かすかな私の声が聞こえたような気がした・・・瞬間、止まっていた時間が、また、ゆっくりと動き出した。
私たち夫婦には息子が二人います。二人とも海外に留学して、その後大きな会社に就職して、孫も生まれます。とても順風満帆。
しいて言えば、夫が入院した時・・・この時は本当に大変だった。この時から、夫への感情に”感謝”という感情も芽生えてきた。
今までは大好きでいつも仲良し・・・だったのですが、入院した時に、夫を支えようという気持ちになり、そして今までは支えられてきたということに気づく・・・そこから、より一層強いきずなが生まれたように思います。
また時間が過ぎていき、次は、夫はもうすでに他界し、私はたくさんの家族に見守られたままベッドに横たわっているというものでした。
たくさんの”幸せ”が記憶によみがえります。
夫のおかげで不自由ない良い暮らしができ、子供たちも立派に世に送り出した・・・平坦な、ごく普通の、不幸のない、めぐまれた、何にもチャレンジすることのない人生だった。
次の瞬間、また、あの意味不明なシーンが目の前に飛び込んできます。車のヘッドライトに照らされた私。動かない。
「危ないですよ」
その声で、我に返った私は、勢いですでに天に召された後でした。
天では・・・今までの人生を振り返り、この前世の私から今の今世の私へのメッセージをもらい、次に来る私の人生の大きな波に備えようと、意気込みました。これから事業を始めようとしている私にとって、とても意味のある、良い経験でした。何にもチャレンジすることのなかった平和な人生だったので、今世は思い切っていろいろ経験を積もうと思います。
同時に、私が今世で小学生の時に車にぶつけられて体の左半身に強い衝撃を受けたことと、大人になってからいつかどこかの鍼灸院で左の首の骨が出ていると言われたことと、今まさに首やら肩やら何もかも痛すぎて困っていたことを思い出し、全てがつながりました。
これも、今の私にとってとても意味のある大きな経験となったのです。
あとがき
前世療法といって、前世の記憶を見ていくものがこの方が体験されたセラピーでした。
細かく言うと、前世を見るのではなく、その人の記憶の奥深いところを思い出してもらうので、前世体験ではありません。
所々出ていた、車のヘッドライトに照らされるシーンは、前世ではなく今世のシーンでしたが、なぜ出てきたのでしょう?。ヒプノセラピーでは脳の90%を占める”無意識”という領域から情報を引き出しています。無意識、つまり自然に出てきた、つまるところ、今の自分に必要な情報だったから出てきていたのです。
前世の内容と、車のヘッドライトに照らされるクライエントという内容は、実は別の案件だったのです。これから事業を始めようとしているクライエントには、今見るべき重要な前世であり、体の方では今思い出さなければならない原因のシーンであり、それはクライエントの”無意識”が、今必要な情報を優先して先行し見させていたということです。